病院2日目、
今日は日曜日。
ベッドの上はとにかく退屈だった。
1時間がものすごく長い。
だってこの病棟、テレビが無い。
電動ベッドも足が痛くて、
せいぜい45度傾けるのが精一杯。
自分の姿を改めてチェックしてみると、
点滴が繋がってる。
抗生剤の点滴だ。
おしっこの管も入ってる。
トイレまで行けそうもないからしょうがないか・・・
左足、動かない。
太ももからかかとまで包帯で巻かれていて
堅いもので固定されている。
両方の手で動かしてみるけど、痛くて動かせない。
なんだ?こりゃ。
グルグルに巻かれた包帯のスキマから管が出ていて、
透明なバッグに繋がっている。
これって太ももの中から繋がっているんだ・・・
怖い・・・。
左足以外に異常は無い。
自由に動かせる。
でも左足が動かせないと、ベッド上での移動も出来ない。
ヒマすぎる私は夢うつつをくり返していた。
ニコニコ笑った白衣のお医者さんが一人でフラッとやって来て
「どうですかぁ?」
と聞いた。
昨日の緑の手術着?
目がそんな感じ。
「足が痛いでぇす」
って言ってみた。
「そりゃ痛いでしょ。折れてるんだから。
大怪我しちゃったんだからしょうがないよ」
怪我しちゃったのはしょうがないって
昨日の手術の時にも言ってたな~。
しょうがないんだ。
怪我しちゃったんだから。
骨が見えてた自分の太ももを思い出してしまう。
昨日見せてもらったレントゲンの写真によると、
膝の下の下脛骨が縦にピキッと折れている。
骨折までしてるなんて思ってなかった。
傷だけでも充分スゴかったから・・・。
「筋肉って再生するんですか?」
気になっていたことを聞いてみる。
「う~ん。再生はしないけど、
全部なくなったわけじゃないから
残った筋肉がなくなった分の働きを助けるんだよ」
ふうん、そうなんだ。
先生が足の向きをわずかに変える。
「痛っ!」
「そっかぁ、痛いかぁ」
おいおい、笑ってるよ。
「明日、包帯変えようね」
と言い残して、来たとき同様フラッと帰っていった。
午後になって、夫クンが子供達を連れてやって来たけど、
プチ子はずっと作り笑いをしていた。
「どうしたの?怖いの?」
「う、ちょっとね」
私の体に何本も管が繋がっているのが
無性に怖かったらしい。
友達から何度もメールが入っていたので、夫クンに
「たこチャンとカッパちゃんがお見舞いに来るらしいよ」
って言ったら、眉を寄せた夫クン。
「う~ん、入れないかも・・・」
「なんで~?」
「ここの病棟ってHCUって病棟で、家族しか入れないんだって」
「え~~、そうなのぉ?」
「家族が入るときも、自動ドアの外から電話して
誰々の家族ですって言わないと自動ドアを開けてもらえないんだよ」
「ゲンジュウなんだ」
「そう。ゲンジュウなの」
もしかしてとんでもない所に入れられてるの?私・・・